ヲタ録

ハロヲタ歴約20年。世間の片隅で生きています。

”死”を覚悟せよ!【雷】【雷】

先日読み終えた一冊の本がある――
三島由紀夫著『行動学入門』(文春文庫)である
名古屋遠征を控え、夜行バスの中で暇になっては困ると思い、
靖国神社にお参りをした後、
出発前夜の9月2日(金)に市ヶ谷文教堂にて購入し、
10月14日(金)読み終えた思い出の一冊だ

実際には、バスの中は暗くて読める状態ではなかったが、
名古屋に朝早く着いたので、開演まで公園のベンチで寝そべったり喫茶店で読んだりしていた……

この本の構成は3部構成となっており、
1章ではタイトルの通り「行動学入門」とし、行動についてあらゆる側面を見出し、著者の鋭い考察がなされている
2章では「おわりの美学」と題し、
さまざまな終わりの形とその本質を分析している
3章は「革命哲学としての陽明学
ここでは歴史上のいわゆる行動派とよばれる人物たちが信奉した陽明学とは何かを解説するとともに、愛国心溢れる著者がこれからの日本人の持つべき精神性を提示している
全体を通していえることは三島由紀夫の文章は実に味わい深い文章であるということだ
このことは、自身の著作である『文章読本』にも書いてある通り、
文章は味わって読むものなのである
文学部出身ながら近代文学はあまり得意でなかった私であるが、
オススメの作家を挙げれば泉鏡花国木田独歩谷崎潤一郎辺りは面白い
三島由紀夫はここで”青年よ行動せよ!”と訴えたわけであるが、
陽明学は究極的には死をもって自らの潔白を証明する危険思想であると江戸幕府からは認識され、
現代においても、現在の支配者層はアポロン的知性主義の持ち主だから、
数合わせ的な政治状況を打開するディオニュソス的行動家が待ち望まれるとしている
また先日、無事千秋楽を終えたモーニング娘。のミュージカル『リボーン』においても、”魂”をテーマに生きることの楽しさをちょっぴり観客に演じて見せた舞台があったが、
これについて『行動学入門』では現代は肉体の安全ばかり保障していても、魂の自由は保障されていないことを述べている
明治開国以来、日本人は黒船に対抗するため自らが西欧化することで欧米列強と対抗し独立を保ってきたけれど、三島は最後の箇所で今後の日本人の在り方として”精神による抵抗”を主張する
憂国忌」と称されるほど愛国者としての三島の言動は、オピニオン・リーダーとして、時に切れ味の鋭いナショナリスティックな表現をしているが、
精神の存在を認識することは失いかけた日本人の精神性を復活させる方向になる
”生きている”日本文化や伝統を守り続けていくことが日本人のアイデンティティーを支えていくこととなる
そうすることで勝ち負けを越えた本当の世界の平和につながっていくものなのである
『行動学入門』……
ハロヲタに捧ぐヲタライフを意味付ける劇薬的作品!!
福家書店新宿サブナード店にも置いてあった
是非一読あれ☆

(文献案内)
あまぞん
Yahoo!経由